Life in Art アートのある暮らし

パリの版画工房Idem Parisで刷ったオリジナル・リトグラフ Vol.6 Ronan Bouroullec
Original Lithographs in Collaboration with Studio Bouroullec and Idem Paris

現代のフランスを代表するアーティスト、ロナン・ブルレック氏のリトグラフ・シリーズは、描きおろしの原画を元にパリの伝統的工房Idem Parisで刷られた、イデー限定の作品です。ロナン氏の左手から直感的に繰り出される美しいラインやフォルム、幾重にも重なった色の深みと奥行きを、ご堪能ください。

Lithographs

Interview

2023年の初夏、Idem Parisでの制作風景とロナン・ブルレック氏のインタビューを収めた動画作品です。

ロナン・ブルレック氏からのメッセージ

私に真の喜びをくれるのは、肉屋で使う包装紙や段ボールに絵を描くことです。
何か非常に深みがあり、まるで私のペンを受け止めるマットレスのようです。
この(Idemの)石版も、不思議なことにその感触はとても滑らかです。
まるで人肌のように非常に艶やかで、とても柔らかく繊細です。
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色を準備する工程も或る意味極めて有機的で、不完全なところにも好感が持てます。
前日に行われた何かの工程を再現することはできません。
思うにリトグラフには、デジタル印刷やオフセット印刷では得られない、生きた何かがあるのです。
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私が絵を描くことが好きなのは、デザインするのとは対照的に結果がすぐに得られることです。
少し歌のような感じで、これらの作品が巡り巡って、
私の知らない誰かの生活の一部になることもあるでしょうし、それがとても嬉しいです。
私にとって深く考える必要のない行き先。
もし何処かに行ける機会があるならば、それは日本でしょう。

−インタビュー映像より抜粋

Creation Stories

イデーでは6度目となる今回のリトグラフ制作では、石版を使用した、よりトラディショナルな方法にも挑戦しました。石灰岩でできた重厚な石版に、オイルを含んだコンテや墨などのさまざまな画材で直接描き、水と油の反撥を利用して印刷します。マティスやピカソの時代から100年以上受け継がれた伝統的な工房で生み出された石版のリトグラフ作品は、美術品として貴重な価値があります。

石版へ描く作業は、後戻りのできない集中力を要する時間の連続です。ロナン氏はさまざまな画材のなかから和筆をチョイスし、少しずつ墨を含ませながら直感的でアブストラクトなモチーフを繰り出していきます。何度かの試し描きを経て、繊細で美しい作品の原版ができあがりました。

石版の2作品に加え、紙に描いたカラフルな原画を元にしたリトグラフも10タイトル作りました。色とりどりの油性インクを職人の感と技術で調合し、微細な色の違いを何度も試しながらアーティストの納得がいくまで時間をかけて版を重ねていきます。

一色一色刷るごとに微調整を繰り返しながら色を重ねるリトグラフ作品は、現代的なオフセット印刷にはない深みと奥行きがあります。黒一色刷りに見える作品も、さまざまな黒やグレーの版をレイヤードし、原画の持つ魅力を余すところなく表現しています。刷り出した作品は全てハンドカットし手間ひまかけて作られています。

作品ラインナップ

Coordination Ideas

Profile

ロナン・ブルレック
Ronan Bouroullecロナン・ブルレック

1971年、フランス・カンペール(ブルターニュ)生まれのアーティスト/デザイナー。 弟のエルワン氏との兄弟ユニットとしてVitra, Flos, Hay, Magisなどでプロダクトデザインを手掛け、現在はソロでのデザイン活動をおこなっている。さらにアート作品も多数制作、陶板シリーズ「Bas-Relief」やドローイング作品が、世界中で高い評価を受けている。

Photo © Claire Lavabre (Studio Bouroullec)

Archive

ピカソやマチスの作品を生み出したプレス機が今なお動く印刷工房Idem Parisで、イデーは2014年からオリジナルリトグラフの制作をスタートしました。私たちがこれまでさまざまなアーティストとともに制作してきたリトグラフ作品をご紹介します。

  • Vol6. Ronan Bouroullec

  • Vol5. 柚木沙弥郎

  • Vol4. 柚木沙弥郎

  • Vol3. NIGEL PEAKE

  • Vol2. 柚木沙弥郎

  • Vol1. VARIOUS ARTISTS

  • Vol0. Idem Parisとは

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