Paul Klee（パウル・クレー）の作品は、色彩と線を重視した抽象絵画でありながら音楽的な要素も含む、知的で緻密な構成が特徴です。バウハウスと呼ばれる伝説的な美術学校で教鞭もとり新しい美術を生み出し続けました。

Paul Klee (パウル・クレー) / 1879-1940
スイス・ミュンヘンブフゼーで音楽家の両親のもとに生まれ、高校卒業と同時にドイツへ移りミュンヘン美術学校で学びます。1914年に友人らとチュニジアを旅行した際に見たアフリカの強烈な光が、彼に劇的な影響を及ぼします。「色彩が私を捉えた。もうそれを追いかけることはない、色彩と私は一つに融合したのだ、こうして私は画家となった」と語っています。それまでは色彩のコントロールに自信が持てず、黒インクのみによる作品を作っていましたが、画面をいくつかの幾何学模様に分割する手法をキュビスムから取り入れ、それらを強烈な原色で埋め、まさに色の祭典とでも形容したくなるような画を確立します。第一次世界大戦後、ミュンヘンでの展示会で成功をおさめた彼は次第に画家としての名声を得て、1921年にはバウハウスの教授となります。
クレーの芸術は「抽象的表現主義」「超越主義」と評されており、シンプルで力強い形態配置と、強烈な色彩感覚が最大の特徴です。併せてプリミティヴなものへの憧れと、子どもの純粋無垢な態度への傾倒が芸術の中にメルヘンさを感じさせます。