Scandinavian Craftsmen

Scandinavian
Vintage Design

北欧を代表するデザイナーによるミッドセンチュリー期のヴィンテージ家具。その造形や機能美は、今もなお私たちの心を捉えて離しません。

今回の買い付けでは、次世代へ継承するべきモダンデザイン家具をイデーバイヤーの目利きでセレクトしました。アートのように見立てて堪能したくなるヴィンテージ家具とそのデザイナーの一部をご紹介します。

※本ページ掲載商品については自由が丘店までお問い合わせください。

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Ilmari Tapiovaara

ASLAK CHAIR 3LEGS Ilmari Tapiovaara 1958 / Finland Wilhelm Schauman ltd製

曲線が美しいチェア。ファイバーグラスのプロダクトが注目されていたこの時代、タピオヴァーラの環境で自由に使える素材は限られていた。その環境の中、フィンランド初の合板メーカーWilhelm Schauman社の協力を得て新技術だったプレス合板を用い、後ろ脚とアームを一体化させることで、安定供給の生産体制、経済的なパッケージによる輸送や組み立ての簡素化というコンセプトをフルに実現した名作。現在販売されているアルテック社のアスラックチェアは4本脚だが、こちらは3本脚でより当時のタピオヴァーラの思いが反映されているチェアと言える。

Ilmari Tapiovaaraイルマリ・タピオヴァーラ

1914年9月7日フィンランド、ハメーンリンナ生まれ。
ヘルシンキ大学でアートと家具デザインを専攻、パリでル・コルビュジエの事務所に務め、1938年ヘルシンキの北にあるラハティの大手家具メーカーのアートディレクターに就任した。
戦争後、人々のより良い暮らしのために、タピオヴァーラは量産可能な家具の開発に注力するようになり、1946年に妻アンニッキとともに手掛けたドムスアカデミカのプロジェクトを成功に導いたことで、一躍その名を広めた。

Alvar Aalto

STOOL 60 Alvar Aalto 1960-1965 / Finland Artek製

アルヴァ・アアルトが1933年にデザインし、現在にも続くアルテック社を象徴するプロダクト。生産年数が長いことから時代によってつくり方にも特徴があり、古い年代のものはその希少性の高さからヴィンテージ市場でも見つけることが難しくなってきている。
アアルトのスツール60の年代の見分け方はいろいろとあるが、一つの方法として座面木口の接合部が凸の形をしているかどうかで1965年より後か前かがわかる。このスツールは接合部が凸になっているので、1965年以前のプロダクトになる。

Alvar Aaltoアルヴァ・アアルト

1898年2月3日フィンランド、クオルタネ生まれ。
フィンランドが生んだ20世紀を代表する世界的な建築家、都市計画家、デザイナー。
その活動は建築から家具、ガラス食器などの日用品のデザイン、絵画までと多岐にわたる。スウェーデンのグンナール・アスプルンドと並んで、北欧の近代建築家としてもっとも影響力があった1人であり、モダニズムに対する人間的なアプローチで知られる。

Josef Frank

SOFA Model. 1100 Josef Frank 1960s / Sweden Svenskt Tenn製

ヨセフ・フランクのデザインの特徴は、ヨーロッパの伝統と休息・調和・洗練というスウェーデンモダンを構成する要素が有機的に交ざり合ったところにある。機能主義を嫌い、素材の自然な色と質感の変化を上手く利用し、自然がまだ新しいインスピレーションを与える力を持っていることを作品を持って証明した。このソファはフレームに伝統を、背面に自然を感じる事ができ、スヴェンスク・テンの家具デザインを象徴する逸品となっている。

Josef Frankヨセフ・フランク

1885年7月15日オーストリア、バーデン生まれ。
数々の巨匠とよばれる建築家や家具作家の先駆けでもあり、1930〜40年代に北欧に「モダンデザイン」をもたらした人物。
スウェーデンの市民権を得て、人生の半分はスウェーデンにおける最高峰の老舗家具ブランド「スヴェンスク・テン」の家具デザインに費やした。スヴェンスク・テンではエストリック・エリクソンと共に家具だけではなくファブリックデザインにも功績を残した。

Arne Vodder

Arm Chair Model. 51A Arne Vodder 1951 / Denmark Sibast Möbler製

アルネ・ヴォッダーの作品も、師であるフィン・ユールと同じくオーガニックフォルムの部材と秀逸なフレーム構造の融合が特徴であり、そのユニークさはあらゆる角度から椅子全体の形状を楽しみたくなる。フィン・ユールほどフレーム構造に建築要素をいれておらず、椅子単体としての美しさを追及している。木の本来の素材の持ち味とデザインのアイデアが重なり、芸術作品というより、道具としての美しさの追及とも思える。見る角度で表情がこうも変化するものかと溜息を誘う逸品。

Arne Vodderアルネ・ヴォッダー

1926年デンマーク生まれ。
1940年代半ば、ニルス・ヴォッダーのもとで建築と家具製造の経験を積んだのち、コペンハーゲンの王立アカデミーでフィン・ユールに師事。以来フィン・ユールは師であり友人であり、ビジネスパートナーでもあった。
彼の作品は1950〜70年代にかけてホワイトハウスのジミー・カーター大統領やカイロのアンワル・サダット大統領が愛用したほか、ジュネーブの国連事務所や多くのホテル、銀行、大使館などで採用されてきた。

Finn Juhl

Arm Chair Model. 192 Finn Juhl 1950s / Denmark France & Son製

フィン・ユールの作品は、オーガニックフォルムな部材と秀逸なフレーム構造体との融合、そこに生まれる調和と完成度が特徴。 その細部の美しさから「家具の彫刻家」とも言われている。
モデル192もフィン・ユールのデザインセンスが存分に発揮された、彼の作品を代表するアームチェア。フィン・ユールが得意とする座面を浮き上がらせた設計、部材取りの巧妙さ、絶妙さ、アームの形状と相まって、家具にとどまらず一つの芸術作品になっている。レザーもオリジナルであり、良い状態で現在まで保存されていることが更にこのチェアの価値を高めている。

Finn Juhlフィン・ユール

1912年1月30日デンマーク、フレゼレクスベア生まれ。
王立美術大学の建築科でカイ・フィスカーに師事。卒業後ヴィルヘルム・ラウリッツェン建築事務所へ勤務する傍ら、ニルス・ヴォッダーの協力を得て、世界で最も美しい椅子と呼ばれた「No.45」をはじめとする数々の名作を世に出した。
1945年に独立後、1955年までフレデリクスベアー工業専門学校でインテリアデザインを教え、後の世に多大な影響を与えた。

Yrjo Kukkapuro

Arm Chair Model. 51A Yrjo Kukkapuro 1951 / Denmark Avarte Oy製

クッカプーロは自身のデザインに対して、芸術家・医師・エンジニアがデザインという枠で組み合わさっていると述べている。このA-500シリーズも人間工学に基づいて研究された優れた座り心地が特徴。デザイン的には1930年代のモダニズムの起源への回帰をパイプ構成で表現している。この椅子が製造された1970年〜80年代はモダニズムのルーツへの調査や遺産への関心が高まっていて、クッカプーロデザインの特徴でもある人間工学、合理的な生産・製造の可能性の研究、ロジカルな構造の表現と共に具現化されたモデルでもある。

Yrjo Kukkapuroウリヨ・クッカプーロ

1933年4月6日、当時のフィンランド州ヴィープリで生まれる。
1958年にヘルシンキのInstitute of Industrial Artsを卒業後、1959年自身のデザイン事務所を設立、インテリア専門の建築家兼デザイナーとして活躍しながら、自らも教鞭をふるい、デザインを学ぶフィンランドの学生たちを数世代にわたって指導した。1974年にNew York Timesにて世界で最も快適な椅子として「カルセリラウンジチェア」が紹介され、国際的に成功したフィンランドのデザイナーの一人となった。
フィンランドデザインの巨匠アンティ・ヌルメスニエミは、彼の作品の特徴はオープンな考え方と革新的なマインドにあると評している。

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