Life in Art アートのある暮らし

photo by Norio Kidera

柚木沙弥郎
イデーのしごと

日本を代表する染色家、アーティストである柚木沙弥郎氏。
これまでイデーとさまざまなものづくりをしてきました。

パリで一緒につくったリトグラフや、イデーのために描きおろした原画から生まれたさまざまなオリジナルアイテム。

「アートを通して、これからの暮らしを良くしていくこと」という想いのもと、ともに手掛けてきた取り組みをご紹介します。

柚木沙弥郎 作品ラインナップ

柚木沙弥郎さんが2024年1月31日に逝去されました。ご冥福を心よりお祈りします。

柚木さんといっしょに見てきた景色が思い返されます。私たちはたくさんの大切なことを教わりました。
柚木さんと約束した「アートを通して、これからの暮らしを良くしていくこと」を続けていきます。

素晴らしい作品の数々をありがとうございました。

2024年2月8日更新

柚木沙弥郎とイデーのこれまで

現在も現役のアーティストとして活動する柚木沙弥郎氏。鮮やかな赤や藍色、柔らかな緑や水色など豊かな色彩で仕上げられた作品は、どれも伸びやかで活力に溢れたものばかり。創作活動は染色に留まらず、リトグラフや銅版画、ガラス絵、絵本など多岐にわたり、人々を魅了しています。

イデーはWebマガジン "LIFECYCLING" での取材をきっかけに柚木氏と親交を深め、2014年にイデーショップで初の布作品の個展「布と暮らす」を開催しました。新作タペストリーを中心とした布作品をイデーの家具と合わせ、インテリアを彩るアイテムとして新たなアプローチで紹介。それまで美術館や民藝館、画廊などで作品を展示してきた柚木氏にとって、この展示会はインテリアに作品を取り入れることで空間が豊かになり、見る人に作品をより身近に感じてもらえる、という発見でもありました。

2016年には、パリの伝説的リトグラフ工房 Idem Paris で刷ったオリジナルのリトグラフを制作しました。 イデーの「日常のインテリア空間の中で楽しむアート」というオーダーで柚木氏が描いた、鳥や人をモチーフにしたものなど大小7種類の作品。その原画を手に、イデーのアートディレクターが Idem Paris の職人と打ち合わせし、インクの色を調整、刷り上がりの詳細チェックを重ね、オリジナルのリトグラフが完成しました。

  • photo by Norio Kidera

  • photo by Norio Kidera

2019年には柚木氏自身が Idem Paris を訪れ、2回目となるオリジナルのリトグラフ制作が実現しました。 マティスやピカソをはじめ、世界の芸術家の版画を扱ってきたアトリエのなかを巡り、ときには足を止めて熟練の職人らの働きぶりを食い入るように見つめる柚木氏の表情が印象的でした。

2020年9月には IDÉE TOKYO で個展 "FOLKARTIST" を開催。
ペンチやトンカチ、ティーポットといった日常の道具をかたどったデザインのほか、抽象的でいきいきとした命の気配を感じさせる表現の作品をご紹介しました。

世界中がパンデミックで混乱するさなかでの展示会に際し、柚木氏はインタビューでこう語りました。
「個人個人が立ち止まって、元々の自分に立ち返って考えるいいチャンスではないかと思うんです。この機会に手紙を書く人がいたり、語学のスキルをあげたり。中には住まいに目を向ける人もいると思います。住まいはその人の居心地のいい、気持ちのいい場所であってほしい。」

柚木氏が紡ぐ言葉のひとつひとつは、今の私たちの心をとらえて離しません。
柚木氏のインタビュー動画もどうぞご覧ください。

Interview with Samiro Yunoki
@Exhibition “FOLKARTIST” IDÉE TOKYO (4:24)

柚木氏が100歳を迎えた2022年。3回目となるオリジナルのリトグラフが完成しました。
今回のために柚木氏が描いた原画をもとに、Idem Paris の熟練の職人が手作業で仕上げた作品は、色の重なり方やテクスチャーなどリトグラフならではの魅力を感じます。

柚木氏とイデーとのアートの取り組みをぜひご覧ください。

柚木沙弥郎のリトグラフ 2022 特集ページ

ラインナップ

  • 型染タペストリー "Tree of Life"

    柚木氏がイデーのために描き下ろした原画をもとに「型染工房たかだ」にて100枚限定で型染タペストリーをつくりました。ひとつひとつすべて手仕事で仕上げており、少しずつ表情が異なる型染の魅力を存分にお愉しみいただけます。
    ※柚木氏が100歳を迎えたアニバーサリーイヤー2022年の限定商品です。

    商品詳細・購入
  • 暖簾 "POWER OF INDIGO"

    柚木氏が描いたアルファベットが1文字ずつデザインされた型染めの暖簾。徳島で藍染業を営むBUAISOUと一緒につくっています。手間ひまのかかる天然藍で染めているのは、藍でしか表現できない複雑な濃淡や、深みのある「青」に魅力があるから。長い時間をかけてじっくり経年変化してゆく様子もお愉しみいただけます。

    商品ラインナップ
  • 浴衣 “KUTSUROGI”

    柚木氏がイデーのためにデザインした浴衣。
    暮らしの中でよりくつろげる時間を過ごしてほしいと、柚木氏が“KUTSUROGI”と名付けました。「注染」という染色技法で職人が手作業で染め、同じ柄でも一枚ずづ微妙に異なる風合いをお楽しみいただけます。

    “KUTSUROGI”特集
  • IDÉE Daily Tote

    “IDÉE Daily Cloth”のテキスタイルからセレクトして作ったトートバッグです。毎日のように使ってもらいたいという思いを込めて“Daily Tote”と名付けました。
    日本製にこだわり、国内で織った高密度なコットン地に国内でプリント・縫製しました。ギフトにもおすすめです。

    商品ラインナップ
  • IDÉE Daily Socks

    “IDÉE Daily Cloth”のテキスタイルの中から4つの柄をセレクトして作った靴下。毎日のように使ってもらいたいという思いを込めて“Daily Socks”と名付けました。鮮やかなカラーとユニークなデザインがコーディネートのアクセントに。ギフトとしてもおすすめです。

    商品ラインナップ
  • 柚木沙弥郎 マスキングテープ

    “IDÉE Daily Cloth”と同じ図案のマスキングテープが登場。部屋の壁にポストカードや写真を留めたり、食べきれなかったお菓子の袋をとめたり。 一度貼っても剥がせるマスキングテープだからこそ、気軽に日々のいろいろなシーンでお愉しみいただけます。

    商品ラインナップ
  • IDÉE Daily Cloth

    柚木沙弥郎氏がイデーのために描き下ろした図案で作った手ぬぐい。
    手ぬぐいやハンカチ以外にも、テーブルランナー、キッチンクロス、壁に掛けるタペストリーなど日々のいろいろなシーンで使ってもらいたいという思いを込めて“Daily Cloth”と名付けました。「注染」という染色技法で職人が手作業で染めており、同じ柄でも一枚ずづ微妙に異なる風合いが愉しめます。「注染」は染料を注ぎこみ上から下に通すので、比較的裏表なく染まり色柄が鮮やかに出るのが特徴です。

    商品ラインナップ
  • SIWA シリーズ

    1000年もの歴史のある紙の産地、山梨県市川大門にあるメーカーと、山梨県出身のプロダクトデザイナー、深澤直人氏が作った「SIWA | 紙和」。軽くて風合いのある和紙の良さはそのままに、耐久性があり水に濡れても破れない新しい和紙「ナオロン」を使用。ひとつひとつ職人がミシンで縫製しており、縫い目が目立たないのも特長のひとつです。
    柚木氏がイデーのために描き下ろした図案をシルクスクリーン印刷したイデーオリジナルのSIWAシリーズです。

    商品ラインナップ
  • Alphabet & Shimauma Limited Furniture Series

    柚木氏がイデーのために描きおろした「アルファベット」と「シマウマ」、2種類の図案を使用して限定のチェアとランプをつくりました。FERRET CHAIRとDJANGO ARM CHAIRのシートの張り地に、AIL VASE LAMPはシェードに生地をあしらいました。ランプは図案が引き立つよう、陶器のベース部分もホワイトにした特別仕様です。

    商品ラインナップ
  • Alphabet & Shimauma Limited Fabric Series

    「アルファベット」と「シマウマ」柄のウール混ジャカード生地を使用した限定のブランケットやクッションカバーなど、お部屋のアクセントになるファブリックシリーズ。限定カラーのDaily Socksは毎日の足元の彩りに。キッチンファブリックは、使い込むほどに柔らかく馴染んでいく過程もお愉しみいただけます。

柚木沙弥郎氏
柚木沙弥郎Samiro Yunoki

染色家。1922年東京生まれ。1942年、東京帝国大学文学部美学・美術史科に入学するが、翌年学徒動員。終戦後、1946年に岡山県倉敷市にある大原美術館に勤務。柳宗悦が提唱する「民藝」との出会いを機に、芹沢_介に弟子入りし染色の道を志す。1955年、銀座のたくみ工芸店画廊にて初個展。以降50年以上にわたり制作を続け、数多くの作品を発表する。1972年、女子美術大学の教授に就任、1987年に学長に就任(91年退職)。2008年から3年連続で、パリのGALERIE L'EUROPEで個展を開催し、高い評価を得る。2013年には世田谷美術館で開催した「いのちの旗じるし」が好評を博す。2014年フランス国立ギメ東洋美術館に作品80点が収蔵。同館にて個展「La danse des forms − Textile de SamiroYunoki」も開催。

インタビュー記事『美意識とユーモアが暮らしを彩る、染色家の住まい』(interview&photo『LIFECYCLING』)

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