Scandinavian Craftsmen

Crafted Modern - Artist Interview -

Arni Aromaaアルニ・アロマアCeramic artist, Finland

アルニ・アロマアは、セラミックやガラスを主な素材として制作活動を行う工業デザイナー兼アーティスト。アアルト大学在籍中の1996年に友人と立ち上げたデザイン事務所Pentagon Designで約40名のデザイナーを抱え、インテリアやプロダクトなどのデザインを行いながら、夜や週末を中心にアーティスト活動を行う。さまざまなアーティストが集まってアトリエを構えているという、ヘルシンキ市内の工場跡地の一室にある彼の工房を訪ねた。

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何をきっかけに陶芸を始めたのですか?

一番最初から考えると40年くらいかな。子どもの時から陶芸には親しんでいました。ほら、子どもって土に触れるのが好きでしょう?本格的に取り組み始めたのは15年前くらい前から。生業のデザイン業では仕事では抽象的なものを扱うので、直接素材に触れられる陶芸に惹かれたのだと思います。純粋にものを作る喜びに魅せられましたね。

ものづくりにおいて大切にしている点は何でしょうか?

自分の作品は工業デザインの影響を強く受けていると思います。作品のフォルムは精密にデザインしており、仕上げにも細心の注意を払っていますが、陶芸の最大の面白さは過程や結果をあらかじめ想定できないということ。素材の実験をしているようなイメージ。特に今取り組んでいるセラミックとガラスを融合した作品は、実験的に素材を扱っており、この2つの素材の溶ける過程、つまり溶けたガラスがどのような反応をするのかは未知数の部分がありますね。素材の境界線を探りながらものづくりをしています。

アートピースとして今までどんな作品を作ってきましたか?

最初は丸みのある作品を作っていたんですが、窯で焼成する際に足があった方が効率的だと気づいたんです。そのプロセスの問題解決で生まれたのが、モンスターのような抽象的なオブジェのシリーズ「Animal」です。工房を構えて最初に生まれたシリーズですね。木のようなフォルムを纏ったオブジェのシリーズは、夏に野外で薪窯焼成していて、釉薬の出方によって味わいが生まれます。
他には壁掛けレリーフのシリーズ「Magic Ponds」。ストーンウェアの土に焼成工程で色のついたリサイクルの硝子を組み合わせています。硝子の色の組み合わせでグラデーションを作り出すこの作品は、季節によってさまざまな色を見せるフィンランドの小さな湖からインスピレーションを受けています。

影響を受けたアーティストはいますか?

フィンランドのアーティストだとタピオ・ヴィルカラですね。彼はアートとデザインの両方の領域で仕事をしていて、私の仕事とも親和性や類似性が感じられるので。彼もいろいろな素材を実験的に使っていた、ということもあります。

イデーは暮らしの中にアートを取り入れることが身近になるように提案をしているのですが、ご自身にとってのアートの意味は?

僕にとってのアートは表現方法の一つですね。そしていろいろな視点を作るもの。アートはそのビジュアルとして惹かれるものだったり、また喜びをもたらすのだと思います。アートは定義するのが難しいですよね。全てのことにあてはまりますが、いろんな風に解釈できます。

フィンランドの人はアートを日常の暮らしに取り入れていますか?

フィンランドでも日本と同じようにハードルが高いと感じている人もいると思います。高価だったり、簡単にアクセスできるものではない感覚はあります。でも私の作っている作品は、蒐集しやすい価格帯のもの。気軽に楽しみやすいものだと思います。例えばアニマルの作品、あれを蒐集していていくつか家に連れて帰る人もいるんですよ。

あなたの日々の暮らしについて教えてください。

自然のあるところに出かけていくのも好きだし、夏はカヌーに乗って仕事を忘れたりします。ヘルシンキはカヌーを楽しむのに適している街。30分から1時間で自然に辿り着けますし、都市にいるという感じがしないんです。自然がここには身近にあって、その点がとても気に入っています。
アーティスト活動は仕事が終わってからや週末にしているので、仕事といかに両立するかは課題ですね。

デザイン事務所での仕事と、それ以外のアーティスト活動。労働時間がとても長いのではないでしょうか。

会社勤めの仕事は9時から5時と一般的ですよ。コロナになってからは大体リモートワークですが、今はそれがそれが果たして良いことなのか検討中です。成功しているとは思うけれども、長い目で考えた時に良い方法なのか…。でも私たちがバランスを取ろうとしていることは確かですね。

フィンランドは幸せな国として有名ですが、それはなぜだと思いますか?

フィンランドが幸せな国であるということはいろいろな側面から成り立っていると思いますが、人々が仕事と余暇の良いバランスを保っていることがあるのではないでしょうか。良い社会保障があることも一つ。例えば失業とか、もし人生の中で問題が起こったら不幸なことになってしまうこともあると思うから。
あと、冬が暗く長いということもあって長い夏休みが大切ですね。

確かに北欧の冬は暗いので、わかります。太陽を見るととっても嬉しい気分になりますよね。夏休みは仕事のモチベーションにもなりますし。

そうですね。わからないけど、他の国と比べるとあくせくしてないのかもしれません。学校にも行くし仕事にも行くけれど、それがとても忙しいわけではなくて、大人でも子供でも自分の時間や趣味を楽しむ人が多い。そんな余裕がある。それも幸せの理由の一つだと思います。

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Arni Aromaaアルニ・アロマア

1971年生まれ。セラミック・硝子を主な素材として作品制作をするアーティスト・工業デザイナー。アアルト大学在籍中の1996年に友人とデザイン事務所Pentagon Designを立ち上げ、現在は約40人のデザイナーを抱え、インテリアやサービス、プロダクトなどのデザインを行う。近年は、セラミックスとガラスを組み合わせて焼成する方法を研究。大型の作品では、鋳型やプレス、手びねりなど、さまざまな手法を駆使している。また陶器だけでなく、木材を素材とした彫刻も制作。作品は自然からインスピレーションを受けているが、そのデザイン言語、仕上げ、制作のテクニックは、アロマアの工業デザイナーの経験に強く基づいている。アートは自身のデザイン活動において強いインスピレーションとなり、一方デザインの世界からアートのインスピレーションを得る、とアートとデザインの2つの分野で活動する彼は話す。

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