キリムとは、トルコ・アナトリア高原から中央アジアの広い地域に住んでいるチュルク族や遊牧民たちが織る、平織りの織り物です。ウールの平織りのもの全ての総称で、敷物に限らずテント布や収納用具などの生活道具として使われていたものもキリムです。 羊や山羊などを連れていた遊牧民たちが、身近なウールを使って色やデザインなどを創意工夫しながら織り上げたキリムは、名もなき遊牧民のオリジナリティーあふれる、世界にただひとつの芸術作品として注目を集めています。
遊牧民にとってキリムは実用的な生活用具だけでなく、暮らしに彩りを加える装飾品でもありました。織り手である女性が「生活に彩りを加えたい」「豊かに暮らしたい」と腕を競って織ったキリムは、各々の大切な自己表現の方法でもありました。 女性たちは遊牧生活の中での空いた時間に織っているため、他の仕事が忙しくなればキリムを織ることができません。再開したときには気分が変わって、柄が左右対称でなくなったり色や模様が途中で変わってしまうこともしばしばあるようです。 このおおらかさがキリムを個性や味わい深さを持ったもの、そしてあたたかみのあるものにしています。
織られてから比較的日の浅いもの(およそ10〜15年ほど)を指します。もともと販売・輸出用に生産されているキリムです。
ニューキリムの魅力は、手ごろな価格で使いやすいサイズが手に入ること。博物館にあるアンティークキリムのデザインを再現したり、草木染めの糸のみを使ったり、古びた色合いを出す加工を施したり、さまざまな工夫が試みられています。
織られて100年未満のものを指します。商業用でなく家庭用に織られ、暮らしのなかで使われていたキリムです。色やデザイン、目の細かさなど現在生産されるキリムでは見られないさまざまな技術が織り込まれています。市場でオールドキリムという区分ができたのは1980年代頃。天然染料だけが使われていた頃と、西欧から合成染料が入って以降を区別するために区分ができたとも考えられています。
商品ラインナップはこちらオールドキリムをカットして仕立てたクッションカバー。アナトリア地方のさまざまな柄や色使いを、季節や気分に合わせて手軽にインテリアに取り入れることができます。こぶりなアイテムながら、空間のアクセントとしてお部屋の雰囲気を変えてくれます。
商品ラインナップはこちらギャベは、イラン南西部ザクロス山脈の麓ファールス州を遊牧するカシュカイ部族によって古くから紡がれてきました。雄大な自然に溶け込むように素朴なデザイン。草木染めにこだわったものづくりができるのは、広大な自然と大地を持つイランだからこそ。染色の美しさもギャベの魅力のひとつです。
商品ラインナップはこちら母神が腰に手を当てている姿を形取ったモチーフ。すべての母性の象徴であるとともに、豊穣への祈り、喜び、幸運、楽しさ、めぐりあわせなどの意味があります。
邪視から守る意味合いで用いられるS字形のモチーフ。邪視からの保護という意味だけでなく、特に男女間の結びつきや関わりを象徴するモチーフでもあります。
ひとつの幹から枝葉がわかれ大きく広がっていく様子を描いた生命の樹。脈々と続く命、子孫の繁栄をイメージしたイスラム思想に基づいた美しいモチーフです。
キリムでは、このモチーフは家庭や家族を狼から守るために用いられます。もともと遊牧生活、半遊牧生活を送っていた民族にとって、狼は常に脅威だったのです。
結婚への願望、子供が欲しいといった思いを象徴します。娘たちやその近しい人たちは、嫁入り道具として織るキリムにこのモチーフを織り込むことで、幸せな結婚生活を願います。
命を守るという意味合いを持つモチーフ。災いをもたらすと言われる邪視からのお守りとしても使われています。サソリはドラゴンの仮身ともされ、雨を降らせると考えられています。
水は心身の再生、人生の時の流れを表すとともに、豊かさ、家柄の良さ、学識、純粋さ、美徳なども象徴します。水の道はたとえ曲がりくねっていても、また元の道に戻り流れ続ける川の流れを表します。
櫛のモチーフは歯が3・5・7個のものがあります。邪悪なものから身を守るとされ、お守りの意味があります。キリムを織る際に使われる、織り目を下に押し付けるための道具を模したものともいわれます。
トルコキリムが産地で名前を表すのとは異なり、イランのキリムは一般に部族の名前で呼ばれています。
普段のお手入れは掃除機を丁寧にかけ、ホコリをよくとり、ときどき外で干して風を通す程度で十分です。
キリムはウールで出来ているため湿気を嫌います。梅雨などの湿気が多い季節には晴れの日を見計らって陽に干し、湿気がキリムの中にたまらないようにしてください。サイズが大きくて干すことが難しい場合は、キリムをめくってキリムとフローリングの間に風を通すようにしてください。
ご家庭で洗濯する場合は衣料用の洗剤を入れた水かぬるま湯にしばらく浸してから、手でやさしく押し洗いします。よくすすいで脱水機にかけた後シワを伸ばし、形を整えて干します。