Life in Art アートのある暮らし

NIGEL PEAKE

The animal sculptures ofAthena Jahantigh

大胆な曲線で形作られたフォルムと緻密なテクスチャーが印象的なアテナ・ジャハンティグの動物彫刻。コンテンポラリーでありながらどこかノスタルジックな作品は、彼女のルーツであるイランの洞窟壁画とのつながりを感じます。

わたしたちは南フランスの彼女のアトリエにお邪魔して、現在の作風に至った背景や作品制作のこだわりについてお話を伺ってきました。

作品取り扱い店舗:イデーショップ 六本木店

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南仏プロヴァンスを訪ねて

アテナさんの自宅兼アトリエがある南フランスのフヴォー。マルセイユにほど近く、一年を通して温暖な気候が続く街です。
自宅からはオレンジ色の屋根が連なる穏やかなプロヴァンスの景色を望むことができます。

リビングの柱や家具の上には、彼女の作品の象徴ともいえるガゼルや馬のモチーフ作品が配置されています。並んで飾られているお父様の絵画やカリグラフィーからは、彼女の豊かな造形の背景を感じることができました。
「画家であり美術教師でもあった父の影響もあり、イランでは古代の陶器の絵について研究をしました。」

優しい人柄から生まれる温かな作品

自宅の1階にある10畳ほどの工房には、広々とした作業台、粘土を伸ばす機械、仕上げ用の木べらや釉薬、壁にはアイディアソースとなっている写真やイラスト、仕上げサンプルが並んでいます。

馬、ガゼル、羊などの動物彫刻の制作は、4本の脚からスタートし短冊状に切った粘土のプレートを積み上げていくことで完成します。
「一体化させるのが一番大事で難しい作業。仕上げにあわせて土に顔料を混ぜたり、乾燥具合を調整した土を使って作っていきます。」

私たちの訪問にあわせて制作をはじめた作品で実演しながら説明してくれるアテナさんの優しい人柄と、丁寧で繊細な手作業が温かみを感じる作品性につながっていることを実感しました。

ヨーロッパの土やサンドストーンを使用し、焼成後の質感を追求した結果、土の中の粒をあらわにしたり、その一部の表面を削り取った溝の中に釉薬を残したりと、新しい表面の仕上げが生まれました。
銅を使ってラインを入れる仕上げやガス窯での焼成、日本の信楽焼にも興味を持っているというアテナさん。常に新たな試みにチャレンジし続けています。

多彩な仕上げで表現された作品は、ひとつひとつユニークな表情を持っています。大きな作品は空間の主役に、小さい作品は花器やお好みのアートや本と並べるだけで上品な空間を演出します。

作品取り扱い店舗:イデーショップ 六本木店

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Athena Jahantigh

Athena Jahantighアテナ・ジャハンティグ

1976年中央イラン生まれ。イランにて応用美術修士号を取得後来仏。造形美術の博士号を取得するためにパンテオン・ソルボンヌ大学で芸術及び芸術科学を学ぶ。時間の制約による困難を極めながらも、学業と並行して彫刻作品の制作を続け、現在は南フランスをベースに動物を中心とした造形彫刻に情熱を注いでいる。