イッタラのサルヤトンシリーズデザインも手がけるJOPSU RAMU(ヨップス・ラム)。彼女の作品は知性と和やかさに溢れ、繊細で大胆。一見抽象的な表現でありながら、実は具象をモチーフとしています。
彼女のバックグラウンドから滲み出るインテリジェンスやセンス、母親としての柔らかな視点など、是非さまざまな角度から作品をお愉しみください。
LINE UP
KALA魚
IITTALAの"sarjaton"シリーズから派生した作品。モノの表層を小さな線で描き「素材の最小単位」と「最終的な形」のつながりを表現しています。
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本シリーズの作品には1匹の KALA(fish)が記され、「泳ぎながら、小さな目でいろんな世界を見る。そうすると美しいものがたくさんある」というメッセージが込められています。
LINTU鳥
2012年に開催された個展"KALA-Fish"の続編として2016年に描き下ろされた、"LINTU-Bird"シリーズ。
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鳥のようにあらゆるところへ飛びまわり、行く先々でさまざまなものに触れ、感じ、出会う。
本シリーズは、そんな世界をめぐる冒険のなかで手に入れた宝物にフォーカスして描かれています。
DOMUS鍵
鍵穴をモチーフにしたシリーズ。フィンランドでは建物のドアにそれぞれ文字がついています。本シリーズは"D-O-M-U-S"と記されたドアをイメージして描き下ろされました。人それぞれ思想が異なるのと同じように、鍵穴は家によって異なるもの。鍵穴を通して家を覗くことを、心のなかを覗き見ることに重ねています。"Domus"は古いラテン語で、"Dom"はスラブ語で家を表します。
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INTERVIEW with JOPSU RAMU Interview & text by Siloana
"LINTU"シリーズから派生したオカリナが発表されました。
これまでの平面のアートワークから一転、プロダクトを制作することになった経緯と、アーティストとしての活動について広く話を伺いました。

これまでの平面のアートワークから一転、オカリナを制作したきっかけを教えてください。
もともと、2016年に東京のCafé & Meal MUJI 新宿で開催した "LINTU"(フィンランド語で鳥の意)という展示で、鳥のキャラクターを創作しました。それから2017年にヘルシンキのArtekでの展示のために制作していてたどり着いたのが、"KUKKOPILLI(Rooster whistle - 鳥笛)"という笛でした。
"KUKKOPILLI"は船で使うフィンランドの伝統的な笛で、オカリナに似た、もっとシンプルな陶器の鳥で、フィンランド人なら子供の頃から親しんでいるものです。

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それでArtekでの展示のために、陶器のオカリナ"LINTUPILLI(bird whistle)"を作ることになり、フィンランドのポルヴォーにあるヴァヤ(フィンランド語で小屋の意)工房で制作をはじめました。ヴァヤ工房は、ヘルシンキにある古いアラビアの工房から引き継いだ陶器制作の技術と伝統、それらを受け継ぐ人々が集まる由緒ある工房です。 このオカリナは、性別を匂わせない自由な存在であってほしいと思うので、"LINTU(=小鳥)"と呼びたかったんです。

"LINTUPILLI"に込めた思いを教えてください。
"LINTU"のアートワークひとつひとつは、それぞれ違うキャラクターの小鳥で、それぞれ違う個性があります。このオカリナもまた、それぞれ個性があります。手描きのペイントはもちろん一点ずつ違いますし、奏でる音色もそれぞれ少しずつ違います。
以前フルート奏者を目指していたことがあるので、オカリナ制作はとても感激しましたし、楽しかったです。

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鳥が集めてきた古いもののかけらをモチーフに描いた"LINTU"シリーズのように、私の作品も古いものから大いに影響を受けています。熱心な旅人としては、鳥たちが発見したものからたくさんのインスピレーションを受けます。船笛やオカリナは、私にとっては古めかしいものなので。
"LINTUPILLI"は自由で、新しいものや人間が作ったものを見つけてくる鳥でありながら、同時にそれ自体が発掘されたアンティークかもしれない、という部分に面白みを感じています。

デザイナーとして活躍するあなたにとって、アートワークを制作するのはどんなことですか?
アートワークの制作は、商業的な仕事のためにも、とてもいいバランスを作ってくれていると思います。私は映像作家、デザイナー、作り手として活動していますが、アートは私の創造性をもっと自由に切り開くのに良い方法だし、商業的な仕事に対してのプレッシャーにはまったくならないです。

次に制作してみたいものはありますか?
いまは大きな作品を制作しています。紙をカットして糊付けしてパターンをつくり、これを紙に貼っていって、それを撮影してシルクスクリーンの版を作って刷ります。
紙をカットするテクニックを使うことで、以前よりずっと大きな作品を制作することができました。最新作は2.5×1.5メートルの大きさで、いまヘルシンキのデザインミュージアムで展示されています。

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それからテキスタイルの制作にも興味があります。機会があればすぐにでもトライしたいです。 あと、"LINTUPILLI"に一人ぼっちでいて欲しくないので、友達がいたらと思って、次回作として計画しています。
Jopus Ramuヨップス・ラム
アーティスト / デザイナー。国際的に多くの賞を受賞しているデザインスタジオMUSUTA Ltd.(ムスタ)のクリエイティブであり、ファウンダーを務める。モーショングラフィックや映像演出、デザイン、アートディレクション、ブランドや広告代理店などのクリエイティブディレクションも手掛けている。東京とヘルシンキを中心に活動。


