Artist Interview

LUCE MACCHIA

ジュエリーに興味を持ったきっかけを教えてください。

ジュエリーに興味を持ったきっかけはアートジュエリーの存在を知ったことです。
私は美術大学の彫刻科出身で鉄の工房に勤めていましたが現代美術に興味を持ち、工房をやめて現代美術を制作、オブジェを作っている頃にOtto Künzliの存在を知りました。
彼らの作品群に衝撃を受け、知性の奥深さを垣間見ました。コンテンポラリージュエリーの存在に触れると同時に今まで自分の性に合わないと思い込んでいたファインジュエリーについても考えるようになり、歴史、価値、権威にも興味を持つようになりました。

ブランドとして活動を始めたきっかけやストーリーを教えてください。

私はもともとものづくりが好きで、さまざまな素材に触れながら自分の表現と素材の特性との相性を模索していました。例えば、粘土、石、アクリル、鉄、アルミ、木などです。
その中でガラスは私と相性が特に良く、展示や小物の制作を行っていました。その過程でジュエリーを作った際、ガラスジュエリーが持つ独特の魅力に気づきました。

ガラスジュエリーは、ガラスと肌の調和や、着用者による再解釈が可能な点で、展示物のガラスとは異なる魅力を持っていました。このことから、オブジェクトガラスよりもより深く人々に寄り添うことができるガラスジュエリーを専門とする道を選ぶことにしました。

photo by daizabrow

作品のデザイン・制作をする上で、大切にしていることや心がけていることはありますか

「LUCE MACCHIA」は、イタリア語で「光の染み」という意味です。光がガラスを通して肌に染みる様子を表現しています。透明なガラスはあらゆる色の光を最大限に活用し、身体に寄り添います。光は本能的に美しいものだと考えます。それを反映し、デザインはガラスの特性を最大限に生かしつつ、身体と無機質の間の相互作用や現象を表現するよう心がけています。

アイデアの原点や、創造性のために何かしていることはありますか。

可能な限り自然の中に身を置くようにしています。ギャラリーや美術館、資料館を訪れ、既存の概念を更新するよう努めています。また言葉も大事だと思い、興味引かれるまま読書もしています。視覚や日常の体験、言葉、思考はすべて、制作に影響を与えると考えています。このインプットとアウトプットの相互作用を通じて、LUCE MACCHIAのアイテムとして存在できるのだと意識して生活しています。

いつも身につけたくなる、想い入れのあるアクセサリーがあれば教えてください。

LUCE MACCHIAのアイテムで mobius ring シリーズというものがあります。このデザインは友人の海外移転のお祝いを考案したのがきっかけで生まれました。彼女にこれからも幸あるよう、タイムレスなデザインを、と考えました。

mobiusの輪は∞(無限)記号の形を表します。「無限」というのは限りが無いわけですがこの意味には「変化し続ける」ということもあります。偶然か必然かわかりませんが∞(無限)記号は数字の8という記号にも似ています。8は漢字だと八と書き、末広がりの形状で、幸せや繁栄が終わりなく続くことを象徴しています。それにガラスを加えることにより光を持ちながら変化し続ける、前進していくことを表しました。

友人はこのアイディアとできあがったジュエリーを大変喜んでくれました。そして彼女がこのジュエリーは他の人にも喜ばれるのではと助言してくれたおかげで LUCE MACCHIA のアイテムの一つとしてデビューしました。

これからも大切にしていきたいことや未来への想いを教えてください。

ガラスジュエリーというものは他のマテリアルと比べて少し特殊です。繊細な素材なのでそこも考慮し制作しています。また肌荒れを起こしやすい方にもご好評いただいております。
LUCE MACCHIAの使用するガラスは通常生活にも耐えうる強度のあるパイレックスガラスを使用しておりますが、所詮ガラスはガラス。
どうしても手に取っていただいたお客様にもご考慮いただくところが出てしまいます。その上でLUCE MACCHIAを選んでくださるお客様には感謝しかありません。

10年ほど前にとあるお客様より「使用する上で緊張感を感じるときもあるけれど、それをマイナスとは思えないほどのガラスの魅力がこのジュエリーにはあります。」というお言葉を頂戴しました。 まだ今のようにパイレックスガラスジュエリーがメジャーではない頃です。透明には存在感がない、ガラスは割れるものだからとあまりご興味をいただけない時期で私自らも実験的なマテリアル過ぎるのではないだろうか、ガラスジュエリーのご提案はご迷惑ではないかと揺らいでいた時期でした。 このガラスの魅力を伝えることができた喜びは LUCE MACCHIA を続ける源となり今現在があるのだと思います。その時の心を忘れず、しかしながら謙虚になることも忘れずにこれからもお客様とガラスの声に耳を傾け制作していきたいと思います。

Buyer's Comment

第一印象は、一つ一つにパワーを感じる、力強さがある魅力的なジュエリーでした。さまざまな形と天然石が施されたジュエリーは、堂々とした一点物の存在感があります。ジェンダーレス、エイジレスで身に着けられる特別なジュエリーは、LUCE MACCHIAならでは。
この夏はカメオが付いたお守りのようなジュエリーに挑戦したいと思います。

LUCE MACCHIA

彫刻、現代美術を学んできた寺西麻紀が、2012年にスタートさせたガラスジュエリーブランド。イタリア語の造語で「光の染み」を意味するLUCE MACCHIA。ガラスを透過した光が肌に映し出される美しさをと魅力を、ジュエリーとして表現しています。日常に取り入れることでより多くの人々がガラスを通じて自然の美しさ、豊かさを感じて欲しいと願い、一点一点制作しています。