Life in Art アートのある暮らし

二階堂明弘の器

さまざまなつくり手とともに美意識のある暮らしを探求する、IDÉE CRAFTS。 今回は陶芸家の二階堂明弘氏のアトリエを訪ねて、アートやものづくりに対する想いについて伺いました。インタビューとともに、端正な佇まいの二階堂作品もご紹介します。

CERAMIC EXHIBITION 二階堂明弘 作陶展

小さなアトリエの小さな窯から

2015年、長年作陶を続けてきた益子から千葉へ拠点を移し、目の前に田んぼの広がる小さな工房の小さな窯から、あふれんばかりに器を生み出す二階堂氏。その勢力的な活動は、ニューヨーク、パリ、ロンドン、台北、北京、上海、香港など海外へも広がっています。

自宅兼工房の一角には、古道具や陶器のカケラなどが並べられています。自身の作品とともに飾られた木の葉や実など、身近な自然の素材も小さなアートに。

ろくろの上の粘土が、まるで命を吹き込まれたようにさまざまな形に変わり、皿やボウルなどの日常のうつわ、茶道具や花器などの作品が生まれます。

刷毛でひとつひとつ釉薬を塗って仕上げていく器。刷毛の微妙な塗りムラが、焼きあがった時に絶妙な表情を生み出します。

二階堂氏の器には奇をてらったところはありません。薄造りの器は繊細な美しさを持ちながら、土であり道具であるといった“人の営みの原点”を想起させます。ある種の大らかさを備えた器たちは、和洋どちらのスタイルにも馴染む佇まい。

特に、二階堂氏が自身の作品のスタンダードと位置づけている黒色の器。人形に命を与えながら自身は影に徹する黒子のように、食材を盛った瞬間から存在感を抑えて食材の引き立て役を目指す、そんなコンセプトを持っています。

1万通りの可能性を生む装置

「器はアート」だと二階堂氏は言います。それは、器が一点もののオブジェであるという意味ではなく、生活の中に美を生み出す1つの要素としてのアートである、と。器は作ったら完成ではなく、買った人が自分の生活の中で使うことによって成り立つもの。客をもてなしたり、花を生けてみたり、中国茶のしつらえで友人と味や香り、談話を楽しんだり....。

「器は人の数だけ使い方があり、1万人いたら1万通りの可能性を生む装置。どう使えばいいか、ひとつひとつにどんな意味があるのかを意識したら、生活はもっと自分らしく良いものになるはず。食器は日常のものです。でも日常を変えるきっかけになるものだと思うから、僕は器をたくさん作っているのかも知れません。家具も、部屋も同じではないでしょうか?」

二階堂氏の言葉は、まさにイデーが大切にしているコンセプト"Life in Art"と重なります。日常に気軽にアートを取り入れることで、日々の暮らしがより豊かになり、その人らしさを生みだし、家具、部屋、家は、その人なりの付き合い方や使い方で如何ようにも変化して、生活を豊かに、楽しくするもの。イデーの家具と空間と、二階堂氏の器。人のクリエイティブを五感で刺激できるような、新たな提案ができたらと考えています。

いろいろなアートと出会う、"Life in Art"特集はこちら

二階堂明弘

陶芸家。1977年札幌生まれ。1999年文化学院芸術専門学校陶磁科を卒業、2001年独立(栃木県にて)。2010年より「陶ISM2010」企画・開催。2011年の震災で「陶ISM2011」を中止し、仮設住宅に直接、陶芸家のうつわを届ける「陶ISMウツワノチカラProject」を開始。「次世代のEnergy」(益子陶芸美術館メッセ・茨城県立陶芸美術館共同展 2013年)、現代陶芸展「現象」(茨城県立陶芸美術館 2014年)、個展「侘びと今」(ニューヨーク・Globus茶室 2015年)、茶の湯を通し日本文化を表現する「侘びと今 -輪-」(ニューヨーク各所 2016年)など。

EXHIBITION : 二階堂明弘 作陶展

イデーショップ 六本木店では、陶芸家・二階堂明弘氏の作陶展を開催します。
二階堂氏の代表的な作品「錆器(しょうき)」は、
鉄分の多い益子の土を鉄の粉末と銅を主原料とする釉薬で塗り重ねた、
美しく経年変化した鉄のような質感が特徴です。
今回で2回目となる本展示会では、
器やカップ・花器など300点以上の作品を展示します。
高い注目を浴びる陶芸家、二階堂氏の作品をご覧にぜひお越しください。

OPENING RECEPTION

日時:2018年9月8日(土)18:00〜
二階堂明弘氏の器の展示と、
華道家・平間磨理夫氏が季節の花を活けこみ華を添えた、
大壺や花器などの作品をご覧いただけます。

IDÉE CRAFTS CERAMIC EXHIBITION 二階堂明弘 作陶展 "Spring is here."