Life in Art アートのある暮らし

THE NEW CRAFTSMEN

”THE NEW CRAFTSMEN”はロンドンの中心部、ハイブランドが軒を連ねるメイフェア地区に店を構えるセレクトショップ。

「地方の工房で受け継がれてきた伝統と技術を、若手アーティストの手によって再生し、多くの人に知ってもらう機会をつくりたい」という思いから、英国各地で活動する職人やアーティストのクラフト作品を取り扱っています。同じくさまざまな作り手とともに、美意識のある暮らしを提案する私たちは、彼らのライフスタイルに対する洞察と、作り手との信頼関係によって支えられた活動に深く共感しています。

現代の暮らしに息づくイギリスの魅力あふれるクラフトの数々を通じて、クラフトがもたらす暮らしの豊かさ・愉しさに是非触れてみてください。

THE NEW CRAFTSMEN CATHERINE LOCK INTERVIEW

ABOUT "THE NEW CRAFTSMEN"

鳥取

19世紀、機械工業の発展で大量生産を可能とした産業革命の反動で、手仕事の美しさが失われることを懸念したウィリアム・モリスらによって「アーツ&クラフツ運動」が提唱されました。このような歴史的背景をもつイギリスで、先人達より継承されてきた芸術的な手仕事、美しい日用品、クラフトマンシップを守り、発展させたいと考えたマーク・ヘンダーソン、ナタリー・メルトン、キャサリン・ロック。この3人によって、2012年に"THE NEW CRAFTSMEN"はスタートしました。

ロンドンの中心部メイフェア地区の歴史あるビルの1階に位置する彼らのショップには、英国各地から集められたジュエリーや食器、家具、テキスタイルなど、幅広いジャンルのクラフトが並びます。現在では英国在住の80近い作家やクラフトメーカーと契約し、作品の販売、作家のプロデュース、 コラボレーション作品の企画などを手がけています。

"THE NEW CRAFTSMEN"の活動で特筆すべきは、伝統的な手仕事に敬意を払いつつ、それらが現代の暮らしに息づくかたちを提案していることです。作り手に対しては現代のマーケットのニーズについて適切にアドバイスし、エンドユーザーに対してはクラフトのある生活シーンを提案することで、現代におけるクラフトの役割を再定義し、「美意識をもって自分らしく暮らすこと」の可能性を提示しています。

MAKERS

  • Furniture Designer-Maker

    Gareth Neal

    ガレス・ニール

    ロンドンのダルストンをベースとする家具メーカー。彼のデザインに対するアプローチはユニークで、素材自体の面白さや可能性を再解釈することで、デザインとクラフトの領域に新たな時代を切り開く役割を担っています。THE NEW CRAFTSMENとのコラボレーションで開発を進めている新シリーズでは、英国の島々それぞれに特有の素材使いや、制作プロセスの調査を通じて、家具づくりのインスピレーションを得ています。

  • Potter

    Silvia K ceramics

    シルヴィア・ケイ・セラミックス

    民族的な伝統と農民による工芸品にインスピレーションを受け、テラコッタのテーブルウェアや大きな器を製作しています。彼女の作品は農家で使われる器の簡素な美しさを反映しており、その装飾は風景に影響を受けています。色付けは泥漿で、取っ手の革素材には天然なめしのブリティッシュ・ブラウンレザーを使用しています。2013 年のArtexでのThe Creazioni GiovaniやOne Year On New Designers Awardなど数々の賞を受賞。

  • Potter

    Iva Polachova

    イヴァ・ポラコーヴァ

    ロンドンを拠点にテーブルウェア、装飾用の器や花器を製作する陶芸家。彫刻家ブランクーシのアートの本質、画家クレーの自然から抽出した思考、そうしたものからインスピレーションを受けた作品はバランス、明確さ、流動性や触覚性を併せ持っています。釉薬は白や、白の下に酸化物や泥漿をかけたものが多く、道具もコテやヤスリ等シンプル。時折釉薬の下に見え隠れする道具の跡は、ハンドメイドであることを優しく思い出させてくれます。

  • Maker in Wood

    Geoffrey Fisher Design

    ジェフリー・フィッシャー・デザイン

    英国の家具取引の中心であるバッキンガムシャーのハイウェイコムで、伝統的なキャビネットの制作手法を用いて、木製にこだわった家庭用・ガーデン用のビスポーク・デザイン家具を作っています。彼のTHE NEW CRAFTSMENでのコレクションは、洋服ブラシにパチンコ、コンテンポラリーな佇まいを持つブラシと塵取りセットなど、大変ユニークです。作品は全てハンドメイドによるもので、地元の森の間伐材や廃材のみが用いられています。

  • Glass Artist

    Michael Ruh

    マイケル・ルー

    南ロンドンのスタジオを拠点に制作活動をするガラスアーティストです。シンプルな道具を用い、ハンドブローで繊細な器を作り出しています。ガラスの中にいくつかの線を描くことで微細なテクスチャーを作り出すのは、彼の代表的なテクニックのひとつ。作品のカラーパレットは、自然からのインスピレーションをもとに選び出されたものです。

  • Potter

    Douglas Fitch

    ダグラス・フィッチ

    イングランド南西部にあるデボン地方のスリップウェア陶芸家。人里離れた田舎に位置する作業場をベースに制作をしており、その描画のインスピレーションを周囲の自然環境から得ています。彼の作品は伝統的な手法のろくろによって制作され、アップリケ装飾や掻き落とし、自然原料から作られるベーシックな色合いの伝統的な泥漿を用いたシンプルな装飾が施されています。

  • Furniture Designer-Maker

    Sebastian Cox

    セバスチャン・コックス

    家具デザイナーでありクラフトマンでもあるセバスチャン・コックスは、英国産の堅木(オークやマホガニー、エボニーなど)にこだわり、誠実さとシンプルさを大切にしたモノづくりをしています。彼の作品はヴィクトリア&アルバート美術館に陳列されており、また 2016年のThe Homes & Gardens Designer Awardsをはじめとする数々の受賞歴を持っています。

  • Textile Designer

    Rose de Borman

    ローズ・デ・ボーマン

    東ロンドンに拠点を置くテキスタイルアーティスト。テキスタイルの画付けやプリントは手作業によって行われている。伝統的なクラフト技術にモダンな手法も取り入れながら、―点ものの作品を産み出しています。カラフルなパターンは動植物が登場する神話に影響されており、伝統的なテキスタイルとともに世界的な民族芸能からもインスピレーションを受けています。

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THE NEW CRAFTSMEN CATHERINE LOCK INTERVIEW

イギリスの現代クラフトを牽引するロンドンのセレクトショップ”THE NEW CRAFTSMEN”。セレクターを務めるキャサリン・ロックさんに、クラフトの魅力とその可能性を伺いました。

THE NEW CRAFTSMENの店内

きちんとしたものづくりの魅力を、
職人の代わりに伝えたい

ロンドンのメイフェア地区は、古くから貴族や政治家に愛された高級住宅街として知られていますが、近年はハイブランドなどのショップも多数立ち並ぶ、洗練されたエリアへと発展しています。2012年、そのメイフェアにTHE NEW CRAFTSMENはオープンしました。

厳選されたクラフトだけを扱うTHE NEW CRAFTSMENのセレクターを務めるキャサリン・ロックさんは、前職では大量に安価なものを販売するスーパーマーケットで商品開発を担当。現在とは正反対の環境だったと彼女は語ります。

「さまざまな商品を扱いながら、食における消費者の意識が大きく変わっていくことを肌で感じとっていました。人々がどんどん産地や素材にこだわるようになり、誰がどのようにつくっているのかを知りたい、という声が多く聞かれるようになったのです」

自分がやっていることは本当に正しいのだろうか―。自問自答を繰り返すなか、多様な生産現場を実際に自分の目で見てみようと、会社を辞めて国内各地を訪問。その旅先でクラフトと出会い、一気にその虜になってしまったそうです。

「クラフトを見ているとその素材や製造方法、形状のなかに、土地ごとの風土や歴史が見え隠れするんです。モノがさまざまな物語を私に語りかけている感じがして……」

しかし、実際に作り手と話してみると、日本の職人同様に多くの人はシャイで無口。自分がやっている素晴らしいことを声高にアピールしようとはしません。
「きちんと作ったものだからこそ、きちんと伝えなければいけない。ならば、私が代わりに代弁しなきゃって」

そう心に決めたロックさんが仲間とともにスタートしたのが、THE NEW CRAFTSMENなのです。

ルーツを求め、アイデンティティを形成する、
クラフトに秘められた魅力

THE NEW CRAFTSMENの評判は一気に全国へと広がり、いまでは海外からも注文が入るようになりました。特にアメリカからのオーダーは群を抜いて多いそうです。

「アメリカでは、芸術文化をサポートすることは民衆の役割でもある、という意識がしっかりと根付いていてます。さらに多文化主義国家でありながら、一部の人はイギリスのクラフトに自身のルーツを強く感じているようです」

職人たちの秀でた技術、フォルムや素材の美しさを愛でながら、同時にクラフトは触れる人の意識に深く入り込み、個人のアイデンティティを形成する力があると語るロックさん。大量生産&大量消費の傾向から離脱し、クラフトのような小さなものづくりに人々の関心が一層寄せられるのも、豊かさの基準が多様化し、個人個人がその価値について真剣に考えている時代へと移行したからだと付け加えます。

「なぜ人はものを作り、なぜ使うのか。日常の暮らしに限りなく近いところから生まれたクラフトは、その答えをはっきりと示してくれます」

人とモノの適切な関係を示す暮らしの道具=クラフトには、決して一時代の流行や商業的な理由に左右されず、心に直接訴えかけるような純粋なメッセージが存在するのです。

Silvia K ceramicsのテーブルウエア
Michael Ruhの工房

いまは小さな工房でも、
いずれは世界が認めるブランドに

イギリスに限定した現代クラフトを扱うTHE NEW CRAFTSMENですが、具体的にはどのような特徴を持つモノが揃っているのでしょうか。

「日本同様に島国であるため、ほかのヨーロッパ諸国と比べても地域特性を色濃く残しているのが、イギリスのクラフトの特徴だと言えるでしょう。私たちが取り扱う作家の多くは、土地に根ざしたものづくりをしており、そこにしか育たない素材を使ったり、特有の環境を反映した製法や形状をしています。そのなかで特に高い技術力を誇りながら、何の制限も受けず、心の赴くままにピュアで個性的な表現手法を取っているアーティストと協働しています」

作家の工房は、どれも個人規模の小さな工房ばかり。しかし、いまや世界的なトップブランドであるエルメスやルイ・ヴィトンでさえも、それぞれ元は馬具やトランクを専門に扱う小規模のアトリエから歴史がスタートしています。THE NEW CRAFTSMENの作家も、いずれは世界中が認めるブランドへと発展していく可能性を秘めている、とロックさんは答えます。

産業革命によって世界に先駆け工業化を推し進めたイギリスですが、その裏側でクラフトの存在が長きにわたり薄れていたことも事実。

「自らの手でモノをつくることは、人間の本能と言っても過言ではありません。それと同じように、愛でる側も自分の本能に従って、素直な気持ちでクラフトを生活のなかに取り込み、存分に楽しんでほしいですね」

Catherine Lock
Catherine Lockキャサリン・ロック

英国有名企業で世界中の工場やクラフトメーカーと関わり、プロダクト、トレンド、ブランドデベロッパーとして活躍。2010年以降は英国各地の工場やメーカーを訪れ、クラフトについての見識を深める。メーカーとインテリアデザイナーとのコラボレーション商品の企画や、英国の世界的ブランドに国内のクラフトメーカーを引き合わせる活動などを行う。2012年に共同設立者ナタリー・メルトン、 マーク・ヘンダーソンとともに"THE NEW CRAFTSMEN"をスタート、2014年4月にメイフェアに店舗をオープン。クラフトについての執筆活動や講演なども多数行う。

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