Life in Art アートのある暮らし

WONDER FULL LIFE

WONDER FULL LIFEは、アーティスト大脇千加子が遊牧民のようにつくり手を訪ね、必然的な出会いや衝動をカタチにしていくプロジェクトです。
プロジェクト始動から3年。さまざななつくり手との出会いを繰り返しながら、創作の力を紡ぎ出してきました。現代に生きるつくり手達が共鳴し、響きあうことで生まれる「特別な感覚」、そこから生み出されたものは時や境界を超える新たな価値を生み出し、まるである一瞬が永遠につながっていくようにさえ感じられます。

小さな旅の巡り

ものづくりには卓越した技術力だけでなく、それぞれの作家の考えや暮らしの情景、時代背景などが明確に反映されます。 WONDER FULL LIFEに関わる作家は、それぞれが住む土地の魅力や季節の移り変わりを肌で感じながら、素直な姿勢で人と向かい合い、創作に専念する人々です。その姿は、単に技に没頭するのではなく、素材と向き合い、暮らしのなかで使われる様を思い描きながら生まれる民藝や伝統工芸の静かで悠然とした態度にも似ています。古代より綴られる色を纏った泥染、鍛え形作られ優しく光る真鍮、豊かな土が呼吸する陶器や土器。自然と呼応する現代のつくり手たちとの出会い、その作品と対峙したときに生まれた特別な感覚を、大脇千加子は自らの手に宿らせ、繋ぎ合わせていく。 それぞれの思いを受け、型にとらわれず思うままに紡いでいくことで、光の音を奏ではじめる。異なるものづくりが一つの「巣」に宿り、共鳴する様子は、ある一瞬がたゆたい、流転していく時の流れを感じさせます。ここにあるのは、つくり手たちとの小さな循環から生まれた、永遠へと続く「祈りのカタチ」なのです。

IMPROVISING EARTH WORK 物語のはじまり

WONDER FULL LIFEの創作は、領域に留まるものではなく、音楽、写真、言葉などあらゆる文化に派生していく可能性を秘めています。つくり手達が共鳴し響きあうことで生まれる「特別な感覚」は波紋のように広がり、新たなクリエイションを生み出しはじめました。
今回のイデーショップ 六本木店で行う展示会では、奄美大島の泥染、真鍮、陶器、土器のつくり手たちとの出会い、その作品と対峙したときに生まれた特別な感覚を手に宿らせ、欠片を繋ぎ合わせ制作した、オブジェやウォールハンギングをご紹介します。
さらに今回は音楽、写真、言葉を創り出すクリエイター達が加わり、IMPROVISATION(即興)による創作によって多角的な表現を試みます。写真家・中川正子氏は、WONDER FULL LIFE の旅のはじまりの記録として、まだ目に見えないけど、たしかにそこにあると感じられる希望、何かをカタチにしようとするつくり手たちの創作の欠片を、1冊の写真集『Rippling』for WONDER FULL LIFEにまとめました。また音楽家・OLAibi氏は、つくり手たちの創作に共鳴し、共に過ごした時間や場所から共有した感覚を音で表現。本展のオープニングに合わせSepcial Liveとして、WONDER FULL LIFEの世界にOLAibiが旋律を奏でます。
心に響くモノは、必ずその背景につくり手の純粋な思いがあり、それがまた別の人へと伝わることでさらなる輝きを放ちます。WONDER FULL LIFEの小さな旅の巡りから生まれた記憶に届ける作品を是非ご覧ください。

※現在は展示は終了しています。

繋ぎ手= 大脇千加子 / WONDER FULL LIFE ・主宰

2005年、自身のブランドKiticaを立ち上げ、出産を機にキッズブランドcokiticaもスタート。ブランドの活動休止後の2016年、新たな創作活動としてWONDER FULL LIFEを始動。染色、陶芸、真鍮、漆、織物などさまざまな分野のつくり手たちと協働し、個展・グループ展での作品発表と企画制作に取り組む。

染= 金井志人 / 金井工芸(奄美大島)

奄美大島紬の泥染を担う染め工房に生まれ育つ。古来より奄美に伝わる伝統技法泥染をはじめ天然染色を行い、豊かな自然と染めを通じて、色と先人たちの知恵を共有している。布以外にも木や陶磁器といった素材に積極的に挑戦。ファッションブランドとのコラボレーションも手がける。

真鍮= 菊地流架 / Lue(岡山)

岡山県瀬戸内市を拠点に、真鍮を素材に用いてカトラリーをはじめとした日用品からアクセサリーまで、幅広く制作を行う彫金作家。穏やかで繊細な表情と、凛とした佇まいを兼ね備える作品を手がけている。

陶器= 城戸雄介 / ONE KILN(鹿児島)

窯を通して生まれる様々なつながりをコンセプトに、ONE KILN (ひとつの窯) という名で活動する陶芸家。型成形による端正なフォルムと、鹿児島のシンボルでもある桜島の火山灰を配合した釉薬により、独特の表情と質感を創り出す。工業的なプロダクトと手工芸という両面からのアプローチを融合している。

土器= 横田安 / 横田窯(茨城)

茨城県真壁町に伝わる「磨き土器」を作り続けて半世紀以上のキャリアを持つ。土の採取から成形、磨き、焼成までの工程を一人の手仕事で完成にまで導く。その作品は、素朴さのなかに力強さがみなぎる。