Life in Art アートのある暮らし

TEXTILE ARTS & CRAFTS HADITHI YA UDONGO Interview with Chikako Owaki

さまざまなつくり手とともに美意識のある暮らしを探求する、IDÉE CRAFTS。 遊牧民のようにつくり手を訪ね、必然の出会いや衝動をカタチにしていく大脇千加子さんのプロジェクト、"WONDER FULL LIFE(ワンダフルライフ)"をご紹介します。

"WONDER FULL LIFE"は、手芸・陶芸・金工などさまざまなジャンルの作り手と協働し、作品発表や企画制作を行っています。主宰の大脇さんは、暮らしの中での気づきや発見をとても大切にしているそう。今回、都内の閑静な住宅街にあるご自宅に併設されているアトリエを訪ね、インテリアデザインに携わるご主人と大脇さんのセンスが光る空間で、"WONDER FULL LIFE"立ち上げの経緯やものづくりについてお話を伺いました。

"WONDER FULL LIFE"のはじまり

大脇さんは大手アパレル会社を経て、自身のファッションブランド"Kitica(キチカ)"を設立。その後出産を機に、キッズブランドの"cokitica(コキチカ)"も立ち上げ、デザイナーとして自然のカタチや色から得たインスピレーションから独創的なアートワークで、特別な日常着を提案してきました。

自身のブランドで想い描く世界観を表現すべく、これまで丁寧に服づくりを行ってきた一方で、日々生まれるアイデアや思想を、より自由に表現しユーザーへ届けるため、ジャンルを越えてものづくりと向き合いたいという想いが大きくなり、新たな表現のフェーズとして、"WONDER FULL LIFE"という創作活動をはじめました。それは自身のブランド立ち上げから、奇しくもちょうど10年という節目の時期でもありました。

ジャンルを越えたつくり手との出会い

枠にとらわれないものづくりに想いを馳せるなかで、共通の友人を介して出会ったのが、現在"WONDER FULL LIFE"のプロジェクトマネージメントを行う、桝村旅人(ますむらたびと)さん。旅するように国内外を周り、さまざまなつくり手と深い繋がりをもっていた彼から、これまであまり出会うことのなかった、手芸・陶芸・金工など、ジャンルを越えた作り手との出会いの種をもらいました。それまでアパレルブランドとしてひとつの「家」をつくるような感じで服づくりを進めてきた大脇さんは、「遊牧民」のように「家」を出て外の「人」に会いに行き、その出会いの衝動をカタチにしたいという意欲が芽生えたそうです。

最初に出会った作り手は、鹿児島を拠点にカラフルな釉薬や桜島の灰を用いて独特な色合いの磁器を手掛ける陶芸家、"ONE KILN(ワン キルン)"の城戸雄介(きどゆうすけ)さんでした。城戸さんの工房を見学した際に交わした何気ない会話。それは、カップをつくる際に出てしまうリング状の型の余り部分を何かに使えないか、というものでした。制作過程で出てしまう端材や余り布。自身もものづくりに携わる立ち場だから理解できる、大切に揃えた素材だからこそ無駄にしたくないという気持ちとともに、端材が持っている作為のないカタチに宿る自然の美しさや素朴な魅力に惹かれたそうです。

東京に戻り、家族との会話からインテリア装飾に使えるのではないか、とアイデアが浮かんで、すぐに城戸さんからリング状の端材を購入したといいます。その端材を用いて生まれたタペストリー、これが"WONDER FULL LIFE"の最初の作品となりました。

タペストリーには、これまで集めてきた石や布、羽などさまざまな素材をコラージュしました。そこにどうしても金属の素材を加えたいと桝村さんに相談して出会ったのが、岡山を拠点に真鍮のカトラリーや雑貨・アクセサリーを制作している真鍮作家、"Lue(ルー)"の菊地流架(きくちるか)さん。制作過程で出てしまう真鍮片を、菊地さんと感性を共有しながらタペストリーに加えていきました。作り手同士だからこそわかる、制作のモチベーションになる衝動。何が必要かが独特の感覚で分かり合い、お互いが面白いと感じ合える。その小さな衝動が風となり、新たなものが生まれるのを強く感じたそうです。

このタペストリーの制作を機に、新たに"ONE KILN"の城戸さんとは絵皿の、"Lue"菊池さんとはタリスマンとよばれるお守りなどの制作が続いています。その後も熊本の小代焼・ふもと窯の井上尚之さん、京都の久山染工さん、ニット作家の浜村花恵さんなど、ジャンルや世代を越えたつくり手たちと出会い、対話し、ともに手を動かし、さまざまな気づきと刺激を受け、"WONDER FULL LIFE"の軸となるものづくりへの向き合い方が形成されていったのです。

"HADITHI YA UDONGO(=土の物語)"

"HADITHI YA UDONGO"展では、こうして大脇さんが出会った作り手たちとの穏やかな想いのカケラが昇華してできた、暮らしを彩るさまざまなアイテムをご紹介します。 陶片や真鍮片、布片や石はタペストリーに、時間も国も越えて運ばれてきた銀化ガラスや古い石は、特別なタリスマン(お守り)やアクセサリーに。"LIGHT YEARS"が各地で集めたヴィンテージの草ビロード(※)やキリムはバッグや靴となり、新たな生命を吹き込まれました。

土中から再び光を浴びた銀化ガラス、土の上で暮らすために織られてきた草ビロード、土をこねて作られる陶器、大地に根を張ってものづくりに向き合うつくり手たち。展示会は、これらの共通項からスワヒリ語で、"HADITHI YA UDONGO(=土の物語)"と名付けられました。大地から生まれる沢山の温度あるものたちが、人の手を渡り整えられた美しい姿をぜひお愉しみください。

※現在は展示は終了しています。

※草ビロード:コンゴ中央部クバ王国で使われている、幾何学的な文様が特徴の伝統的なラフィア素材の織物

大脇千加子 - WONDER FULL LIFE

2005年、自身のブランドKiticaを立ち上げ、出産を機にキッズブランドcokiticaもスタート。2016年、新たな表現のフェーズとしてWONDER FULL LIFEを立ち上げ、創作活動を開始。以降、手芸・陶芸・金工・テキスタイルなどさまざまなジャンルのつくり手たちと協働し、個展・グループ展での作品発表と企画制作に取り組む。

EXHIBITION : "HADITHI YA UDONGO" 2017.2.3 fri - 2.28 tue

展示会は終了しています

"WONDER FULL LIFE"が各地を歩き出会った、旅の跡。
行く先々で出会う作り手との間に生まれた穏やかな想いのかけら。
陶片や真鍮片、布や石など、大地から生まれた沢山の温度が、人の手を渡り美しく整えられます。

また、モロッコやインドのヴィンテージラグ、キルトなどの
美しく個性的な色柄のテキスタイルを扱う
"LIGHT YEARS"(福岡・博多)のアイテムもご覧いただけます。
自由な発想で生まれる、アート&クラフトを是非ご体感ください。

"HADITHI YA UDONGO" 2017.2.3 fri - 2.28 tue