1982年に日本国内で曲げ木の椅子を製作したのがイデーの家具作りのスタートでした。イデーのオリジナルソファ第1号がBASIC SOFAです。幸運なことに、40年以上の月日を経た今も現役の商品として販売しています。
デザインやものづくりを愛する人々に熱い支持をいただいてきたイデーオリジナルソファの変遷をあらためてご紹介します。
1966年、日本を代表する建築家、村野藤吾が千代田生命本社ビル(現目黒区役所)の役員室のためにデザインしたソファ。不思議な出会いに導かれ、イデーが2007年に復刻しました。アームや背の内部の木枠に施された繊細なカーブ、美しい脚先のステンレス使いといったディテールは、卓越した職人の技術があってこそ可能になるものです。
商品詳細・購入はこちら戦前戦後を通じて数々の名作を残してきた、日本を代表する建築家。
ディテールにこだわり、仕上がりに高い技術を求めた作品には、「人間の手でものを作り上げる」という彼のヒューマニズム精神がちりばめられている。主な作品は世界平和記念聖堂、旧千代田生命本社ビル(現目黒区役所)など。常に空間の隅々まで気をめぐらせ、家具や照明のデザインも多数。佐賀県唐津市出身。
1980年代の東京はとても華やかな時代を迎えていました。それでもまだ海外の暮らしは遠く、日本人の憧れでもありました。82年に家具の制作を開始したイデーは、1985年南青山の骨董通り沿いに初の直営ショップをオープン。海外経験の豊富な創業者のもとに美大出身者が集まり、伝統的な家具の形状を崩さずに、ありそうでなかった家具の制作を目指して「PAYSAN(ペイザン)」シリーズを発表しました。西洋のごく一般の人々の暮らしに根差した家具を、現代の感覚で再編集するという挑戦です。そこでソファ第1号BASIC SOFAが誕生。「日本で初めての白いソファ」として発売されました。
イデーで初めて作られたソファということもあり「イデーといえばこれ」という方も多い、永遠のスタンダードアイテムです。当初は白い張り地で、「日本で初めての白いソファ」として発売。アームの巴部分の美しいギャザーは、高度な張り技術によって実現。
国会議事堂の椅子も手掛ける国内家具工場にて製造されています。手仕事ならではの背やアームの丸みが女性的な雰囲気。包まれるような座り心地が一番の魅力です。長きにわたりプライベートルームからホテルのラウンジスペースまで、幅広く愛用されています。
お気に入りのものが並んだ書斎で腰掛けて静かなひとときを。そんな趣味性の高い生活もイデーが提案している世界観です。背やアーム内側の緩やかな丸みとスマートなフォルムが絶妙なバランス。日本の高度な張りの技術によって、細やかな角も美しい仕上がりです。
90年代前半は、88年ミラノでイデーからエンブリオチェアを発表して衝撃デビューを果たしたマーク・ニューソンはもちろん、フィリップ・スタルクら数々のスターデザイナーが活躍し、世界的なインテリアデザインの潮流としては未来的で芸術的な「デザイン」要素の濃いプロダクトが引き続き主流でした。一転、後半に入ると"NO DESIGN"を標榜するオランダのデザイン集団ドローグが注目を集め、95年岡本太郎美術館そばに移転したイデーショップでも日本初の個展を開催。またミニマルデザインが一気にメインストリームを占め、イデーのソファ作りにも影響を与えました。
マシュー・ヒルトンは、イギリスを代表するデザイナーの1人。専門の職人による複雑な木製フレームが美しい曲線を生み出し、ボリュームのあるフォルムが圧倒的な存在感を放っています。チャームポイントの丸い脚にもご注目ください。
フラットで広いラグジュアリーなシートが特徴。同じシリーズで組み合わせ、コーナーやL字に配置することもできます。シンプルだけれども、どこか上質さとエスプリが漂うデザイン。家庭のリビングルームからホテルまで、幅広くご愛用いただいています。
日本では90年代後半からじわじわと始まっていた北欧ヴィンテージ家具のブームに火が付き、それまでのミニマルデザインのクールで無機的なテイストに代わり、やわらかく温もりのある素朴なデザインが支持を高めていきました。元来「PAYSAN」(直訳:農夫)シリーズから始まったイデーにとって、伝統的なデザインを現代の感覚で再編集するのは得意分野です。そのなかで誕生したソファの多くは高い支持を受け、現在でもイデーを代表するソファであり続けています。
チャーミングなフォルムと存在感が際立ち、イデーのソファの中でもベストセラーを誇るシリーズ。座面と背もたれの高さを低めに設計し、日本人に馴染みのある床に座る感覚に近づけています。コンパクトで、限られたスペースでもお部屋を広く感じさせます。
重心にこだわって、通常のソファよりも低く設定されたシート高が安定感を生み出しています。アルミニウムを用いたフレームと黒い脚が、全体の印象をシャープにするアクセントに。微妙な凹凸のあるデザインは精度の高い縫製の技術が求められるため、試作を繰り返してようやく実現できました。
デンマークの家具をイメージし、かつ日本の家庭になじむ新しい北欧スタイルを目指してデザインされました。アームや背を薄くすることで、コンパクトな3人掛けを実現。アーム下部や背板作りにもカーブが施され、優しく軽やかな印象です。
2010年代前半には、あらためて従来のコンセプトを見直し、デコラティブという意味ではなく造形の面白さにこだわるという意味での"イデーらしい"デザイン性の高い家具の制作に取り組みました。社外のデザイナーとのコラボレーションも積極的に再開。
その中で生まれたソファは開発には困難が伴ったものの、他にはない1台としてイデーの新たな代表作となっていきました。
「SIERRA(山脈)」というネーミングは、背もたれの両側が正面から見ると直線に、横から見るとカーブに、見る角度によって違う顔を見せる山脈を思わせることから名付けました。ここはデザイナー最大のこだわりポイントでもあり、開発の難所でもありました。
スチール脚のスタイリッシュなソファは、リビングルームはもちろん、オフィスのラウンジやパブリックスペースまで、穏やかな知性が漂う空間を演出してくれます。背もたれは、端正なスクエア型と柔らかい印象のラウンド型の2種類。背と座を異なるファブリックで張り分けることで、豊かで新鮮な表情が生まれます。
ブリュッセルを拠点に活動するデザイナー、マリナ・ボーティエによる家具シリーズ。オーク材を使用し、重厚でありながらも愛らしいフォルムの丸脚とすっきりとしたデザインで、リラックスした雰囲気や開放感があります。休日を過ごすようなゆったりとしたくつろぎの時間を演出します。
新型コロナウイルスのパンデミックを経て大きく変化した生活環境。自分にとって本当に大切なものは何かを考え、多様な価値観が生まれています。都市に暮らしながらも、よりくつろぎのあるインテリアを求める声が増え、牧歌的なナチュラルスタイルに都会的なモダンスタイルをミックスさせた「NEW PAYSAN」というキーワードを軸に、新しいライフスタイルに合わせた機能やサイズをデザインにも反映。また、惜しくも廃番となっていたアイコニックなソファの復刻や、シリーズの拡大にも取り組んでいます。
サイズの異なる四角いかたまりが連なったアシンメトリーなデザインが印象的。コンパクトなサイズですが、さまざまな姿勢でくつろげるゆとりがあります。幅広のアームは肘置きやサイドテーブル、寝そべる時の枕にもなります。2010年代に発売され廃番となっていましたが、2022年に復刻しました。
どこに置いても美しく見えるよう側面から背面にかけてのデザインが特徴の「野鳩」という名のソファ。座面の角度が大きいので身体がすっぽり収まり、コンパクトながらしっかりとした座り心地です。2012年発売以来ロングセラーである1人掛けのダヴラウンジに、2人掛けソファとオットマンが新たに登場しました。